あっぷる de アート「虹の彼方に」

Somewhere over the rainbow
Way up high(「オズの魔法使い」の名曲からスタートです)
雨の後の虹は見惚れますよね。
儚く消えてしまう虹を描いた作品・・・ありましたよ〜
英国の風景画家コンスタブルです。
こちら側から犬が向こうを見遣っていますね。
(英国人は犬好き〜女王陛下は馬もお好き♪)
 
 
作品名:草原から見たソールズベリー大聖堂
製作年:1831
サイズ:153.7×97.0cm
所蔵 :テートブリテン(英)
作者 :ジョン・コンスタブル() 17761837 
 
理想的とも言える虹がかかる景色ですが、この頃コンスタブルは主教を務めた親友(支援者)や、妻を亡くしています。
永遠の別れに打ちひしがれる内面、それでも続く明日への想いを空に投影しているとも・・・。
 
水彩でも虹を描いています。
多色ではありませんが、二重の虹がかかる貴重な空の様子。
空のタッチが激しいですよね。
ストーンヘンジ=孤独な画家自身?!
 
 
作品名:ストーンヘンジ
製作年:1835
サイズ:38.7×59.7cm
所蔵 :ヴィクトリア&アルバート博物館(英)
作者 :ジョン・コンスタブル() 17761837 
 
さて、ターナーと共に英国を代表するコンスタブル。
歳が近く同じ風景画家なのに、境遇は真逆の二人。
ターナーは下町理髪師の息子。
早熟でアカデミー入りも早く、とんとん出世、各地を巡り海戦画等がウケました。
コンスタブルの実家は製粉業で裕福。
作品はなかなか認められなかったけれど、英国の景色を描き続けました。
アカデミーでの講義は、ターナーは不明瞭でコンスタブルは好評。(どこまでも逆なのね)
 
ライバルだった二人の当時の様子をのぞいてみると・・・
コンスタブルが展示された互いの作品を入れ替えて、良い位置を横取り。
別の作品では、コンスタブルより見劣りすると思ったターナーが、修正最終日に赤を効かせて加筆。
(何て大人気ない・・・英国紳士はどこに?!)
コンスタブルが晩年にやっとアカデミー正会員になった時には、ターナーが訪ねてきて喜び合う一面も。
歴史画や神話画より格下扱いだった風景画、それでも邁進する互いを認めてもいたのでしょう。
 
売れなくたって愛する風景を描き続けるコンスタブルを認めたのはフランスでした。
イギリスでは未完成とされたタッチもフランスでは大絶賛。
ジェリコーやドラクロワの作品に影響を与えた程でした。
 
でも、ご本人はといえば・・・
(以下、「新装版 コンスタブルの手紙」より引用)
P168「私は、フランス人に私の絵を所有させようとは思わない。
私は、フランス人に屈服するままになるなんて御免だ。〜」
P182「〜私はより幸せ多き土地、伝統ある我が英国を描くためにこそ生まれて来たのだ。〜」
とまぁ、こんな感じでフランスに魂を売らなかったのです。(頑固者ね〜英国の自然が一番?!)
もしかして、フランスよりイギリス絵画が遅れているとされた認識への反抗心も?!
フランス画壇に影響を与えたコンスタブル。
ターナーと共に「風景画も、イギリス絵画も素晴らしいんだぞ!」って証明したと言えるでしょう。
 
ダブルレインボーは他にも描いており、想い出の美しい景色に風車を組み合わせています。
画家は「自然の美しさの全てにおいて、虹ほど美しいものはない」と残しています。
 
 
作品名:虹のハムステッド・ヒース
製作年:1836
サイズ:50.8×76.2cm
所蔵 :テートブリテン(英)
作者 :ジョン・コンスタブル() 17761837
 
*おまけ*
国によって虹の色数の認識は違います。
日本・オーストラリア・フランスは7色だけど、アメリカ・イギリスは6色。
アフリカで8色とする部族がいれば、南アジアでは2色とする部族もいるそうです。
お子さんが何色と感じているのか聞くと面白いかも♪
グラデーションだから何色と捉えるかは人それぞれですよね。
虹は未来や希望、大切な人に繋がるモチーフ・・・
(多様性を表すシンボルにも)
夕立の後は大きな虹が出るチャンス!
お子さんと見上げてみて下さいね。
(過去にご紹介したターナーの記事はこちら)
 
参考文献
「新装版 コンスタブルの手紙 英国自然主義画家への追憶」
C・R・レズリー(著)/ジョナサン・メイン(編)/齋藤 泰三(訳)
JOHN CONSTABLEPeter D. Smith()

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