絵の中から緑風

梅雨に入り空が暗い日もありますが、こんな爽やかな作品は如何でしょう。
逆光の中、こちらを見ているのはモネの最初の妻カミーユです。(振り返ったところかな?)
描いたのは一瞬のことなのに、絵の中からずっと風が吹いていそうです。
(マスクよりヴェールの方が女性を美しく引き立てるような・・・)
 
作品名:散歩・日傘をさす女
製作年:1875
サイズ:10081cm
所蔵 :ワシントンD.C. ナショナルギャラリー
作者 :クロード・モネ(仏)18401926
 

        

カミーユの肘と腰辺りに映り込む、足元に広がる花の黄色。
緑に対して子供の麦わら帽子の赤がピリッと効いています。
色や影だけでなく、日傘や子供にあたる日光を塗り分けて、素早い筆使いが見られます。
 
モネは10代半ばでウジェーヌ・ブーダンに誘われ、屋外で描くことを始めました。
これが画材を持ち出し、仕上げまで外でする製作に繋がります。
スケッチをしてもアトリエで製作していた時代に、 屋外で光と色を求め続ける新しいスタイルが生まれました。
 
しかし、なかなか認められず1874年の第1回印象派展も酷評で生活は苦しいまま。
1879年にカミーユは30代の若さで病死してしまいます。
カミーユはモネの晩年の成功を見届けられなかったけれど、 作品の中で、
愛息ジャンと爽やかな風の中に立ち続けているんですね。
モネにとっても思い出の一枚だったのではないでしょうか。
 
後に同じような2枚の作品がありますが、モデルは別人で表情は認識出来ない表現です。
 
再婚後、モネはジヴェルニーに移り住み、素晴らしい庭をつくり(今では観光スポット)
睡蓮の連作などを生み出しました。

 

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